<愛犬・愛猫とずっと一緒に楽しく暮らすための豆知識 58>     今回のテーマは「梅雨に多い病気について」です

こんにちは。
いぬねこさぷりドクターです。

もくじ
1.梅雨に多くなる病気とは

2. アレルギー性皮膚炎とは

3.治療法は?

4.治すことはできる?

5.最後に

暑くなってきましたね。
そして、東京近辺ではないせいか
もうすぐオリンピックが始まるのがまだ実感できずにいますが、
無事に始まり、無事に終わって、やってよかったと言えたらいいですよね。
さて、今回も前回に引き続き、暑くてまだ梅雨のあけないこの時期に
多いワンちゃんの病気を取り上げてみようと思います

梅雨に多くなる病気とは
前回は咳を取り上げましたが、咳とともに多くなるのが
ワンちゃんの皮膚や耳のトラブルです。
特にアレルギー性皮膚炎に関連しておこる皮膚炎や、外耳炎などは
ジメジメした気候の影響を受けて悪化しやすいです。
若いワンちゃんや若い頃から手先をなめる、外耳炎を繰り返すなどの
症状があるワンちゃんが、この季節に脇や股や体に痒みが出て脱毛、
発疹がでるようであればアレルギーの可能性を考慮する必要があります。
特に、3歳以下で何か症状が出ているワンちゃんはかなり疑わしいです。

 アレルギー性皮膚炎とは
遺伝的に発症する病気で、自分の免疫が体内に侵入してきたアレルゲンを
攻撃することによって痒みが起こり、掻いたりこすったりすることで脱毛や湿疹が起こります。
ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎は2種類のアレルギーによって
起こることが知られており、それぞれ全く別のアレルギーです。
1つ目は、Ⅰ型と呼ばれるアレルギーで即時型、つまりアレルゲンに接触してすぐに起こるものです。
食べ物にも反応しますが、主となっているのは、皮膚を通して侵入してくる
アレルゲンに反応して引き起こされる環境性のアレルギーです。
お散歩に行った後すぐに痒がるのはこちらのアレルギーのことが多いです。
2つ目は、Ⅳ型のアレルギーで遅延型アレルギーと呼ばれています。
こちらは、食べ物に特化したアレルギーで、アレルゲンとなる食べ物を
食べてから半日くらいで痒みが出ます。

治療法は?
アレルゲンとして認識されているのはタンパク質なので食事のアレルギーの場合は、
アレルゲンとならないタンパク質だけを摂取することで症状の発症を防ぐことができます。
このアレルゲンとしての認識は、離乳期に獲得すると言われているので、
離乳期に食べたことのない食材のタンパク質のみで作られた療法食のみを
食べてもらい痒みの軽減につながるかみていくことになります。
ちなみに、療法食ではないごはんは、かわった食材でつくっていますと
書かれていたとしても、使用している油や炭水化物源からタンパク質除去が
しっかりなされていないこともあるので、雑多なタンパク質が入っていることがあるので要注意です。
環境性のアレルギーの場合は、原因によっては、空気清浄機や洋服でガードして
もらったりして軽減することもあるのですが、基本的にはアレルゲンの侵入を
防ぎきることができないのでお薬を使ってコントロールしていくことになります。
ちなみに、片方だけしか持っていないワンちゃんはほぼいないと思ってもらったほうがいいので、
食事療法がうまくいっても症状が完全に消える事は珍しいです。

治すことはできる?
基本的には体質の問題なので、治すことは難しいです。
どちらかというと歳とともにひどくなるワンちゃんが多いので、
お付き合いしていくという気持ちでいてもらった方がいいと思います。
(花粉症の人が治らないのと一緒です)
ただし、ダニに対するⅠ型アレルギーには減感作治療薬があるので、
もしアレルゲンがこのダニに対するものだけであれば、ある程度体質を
改善できる可能性はあります。
(現実には、なかなかこれだけにアレルギーを示しているワンちゃんは少ないので難しいのです)

最後に
純血種のワンちゃんを診ているとアレルギー体質を疑う子はかなり多いです。
人間でも、痒い!というのは辛いものなので、できれば早めに治療を開始してあげられたらなと思います。
お薬を飲ませていくことに抵抗がある方も、食事だけである程度改善したり、
洗浄などでなんとかお薬なしでも管理できる場合もありますので、
アレルギーかも?と思ったら、一度相談してくださいね!

 

※イラストはイメージです

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