◆原産国  アイルランド

◆大きさ

体高 オス:81cm メス:76cm
体重 オス:54kg~70kg メス:48kg~61kg

◆特徴
体の大きさが最大の特徴です。全ての犬の中で一番高い体高で、世界で最も大きな犬として取り上げられることの多い犬種です。後ろ足で立ち上がると2メートルにも及びます。
首の長さも特徴的です。狩猟犬として狼を狩るときは、その長い首を伸ばし、頭を高く掲げて、獲物を見つけていたと言われています。その名の由来となったオオカミを狩りで優秀な働きをしていました。
ゆったり歩く姿は優雅で力強く、しかしひとたび走り出せば非常に俊敏です。動体視力や耐久力も優れています。

◆性格
大きな体なので、一見近寄りがたい印象があるかもしれませんが、「ジェントル・ジャイアント」と呼ばれるほど性格は非常に穏やかで、優しい性格をしています。従順な性格をしており、人間の反応に敏感で飼い主や家族にとても忠実です。
元々は猟犬として狼を狩っていたこともあり、勇敢なイメージをもありますが、フレンドリーな性格なので他の犬や子供とも仲良くすることができます。
また、見知らぬ人に対してもそれほど強い警戒心を抱かなく、撃性が低い傾向にあります。
我慢強いために穏やかに見えますが、非常に繊細で傷つきやすい性格です。飼い主から心ない扱いをされると傷ついてしまい、体調不良の原因となることがあります。

◆毛色
グレー、ブリンドル、レッド、ブラック、ピュアホワイト、フォーンなどバリエーション豊富なカラーがあります。

◆獣医からのヒトコト
【注意して欲しい病気】
①股関節形成不全
大型犬に多いとされている遺伝的な疾患の一つです。
股関節のカップが十分に発達せず浅く脱臼しやすくなる病気です。
典型的にはモンローウォークといって腰を振りながら歩いたり、片側の跛行として症状がでたりします。
原因の7割は遺伝と言われていますが、肥満や激しい運動でも発症します。適切な食事量と運動量を見極めるようにしましょう。
治療として、若齢であれば三点骨盤骨切り術、成長期をすぎた後は骨頭切除術や、施設によっては人工関節置換術が適応できる場合もあります。
早期発見することで、適応できる術式がかわるので、おかしいと思ったらレントゲンを撮ってもらってくださいね。

②胃捻転
大型犬によくみられる病気で、胃ガスや食事や水で胃が膨らみ、ねじれてしまう病気です。
はっきりとした原因はわかっていませんが胸の深い大型犬で夜に起こることが多く、夜ごはんの後にお散歩に行って運動させたりといった行為が誘因になるといわれていますので、大型犬の場合は、先にお散歩に行ってから、落ち着いた状態で夜ごはんを与えてもらった方がいいです。
夜に急にぐったりしてお腹が張っているなどの症状がでますが、朝まで様子をみていると状態が悪化し、亡くなってしまう可能性もあるかなり怖い病気です。
腹部が膨張している、呼吸困難、意識の低下などが見られたら早急に獣医に診てもらいましょう。

③拡張型心筋症

心臓の筋肉の変性により心機能が低下することで、全身に血液を送り出せなくなる病気です。
初期症状がなく、聴診をしてわずかな心雑音が聞こえる程度です。呼吸困難や咳といった症状から始まり、ひどくなれば意識を失い突然死に至ることもあります。
末期になると、呼吸困難、食欲不振、体重減少、咳、腹水がたまることによる腹部の膨張などの症状が見られます。決定的な予防法はなく、治癒は難しいですが、投薬などで心臓の機能を助ける治療を行います。
重症化した場合は治療への反応も悪く、治療が遅れた場合は命に関わる病気なので、早めに十分な治療をしてあげましょう。

◆お手入れ
被毛をきれいに保つために週に1回程度ブラッシングと、気品のある姿を保つためには数カ月に1度、長くなりすぎた毛のカットをしてあげましょう。
超大型犬のため、シャンプーなどのお手入れは、プロに頼むことをおすすめします。

◆ヒトコト
アイリッシュウルフハウンドは、活動量は豊富で日々の運動量はかなり必要です。運動欲求に応えられる人、自由に動ける庭があると理想的です。
一般的に大型犬は寿命が短い場合が多いですが、アイリッシュウルフハウンドはさらに短命です。6〜10歳が平均と言われているので、元気に過ごせる短い時間が、幸せであるようにしてあげたいですね。
狩猟犬の時代には多く飼育されていましたが、オオカミの減少とともに一時絶滅の危機に瀕していました。保護団体の手厚い保護のおかげで絶滅を免れ、今は個体数も増えてきています。それでも日本ではかなり希少な犬種です。
筆者は、一度旅先でアイリッシュウルフハウンドを見かけたことがあり、「なんと大きいワンちゃんだ!」と興奮して写真を撮らせてもらったことがあります。一目見て驚くほどの大きさでした。

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